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  ブック/アート・グループショー
  Book/Art Group Show

足立 涼子
梅田 恭子
常田 泰由
開催日時
2007 年5月18日(金)〜5月27日(日)

12:00〜19:00(最終日は17:00まで)、 月・火曜休廊

オープニングレセプション:初日5/18(金)18:30〜20:00

Book / Art Group Show
May 18 (fri.) ~ 27 (sun.), 2007
Hours : 12:00 - 19:00, Closed on Monday, Tuesday 
Opening Reception : Friday may 18 , 6:30 - 8:00pm

展覧会の内容等

〈展覧会の内容等〉
 日頃から本形式のアート作品を制作している3人の作家によるグループ
ショー。
 新作約10点を中心に、これまでに制作された作品も展示いたします。
中程にテーブルをしつらえた、いつもとは違う雰囲気の画廊内で、手にとっ
て読み進むアートを、どうぞお楽しみください。

 出品作家
  足立涼子、梅田恭子、常田泰由 (50音順)

「足立涼子はその作品において、現在の生命の有り様や自然現象をテーマ
に、変わりゆく世界の輪郭をなぞろうとする。作家の言葉によれば、「情
報の入れ物ではなく、知性や権威の象徴でもない、知覚のための詩のよう
な“本”として」作品は提示される。ときに植物が綴じられ、乳香や蝋の
香りを放つ頁を繰るとき、“読者”の感覚は研ぎ澄まされ、意識は内外へ
と向かうだろう。

 梅田恭子による銅版画を連ねた “本”は、ときに「一冊だけの詩画集」
という、版の第一義と矛盾するかのような形をとる。版とはもともと文字
や画を量産するために発達した技法だが、ここでは反対方向のベクトルが
生じている。疼きと凪を内包するイメージと文字は、版とは何か、コミュ
ニケーションとは何かを問いかけてくる。

 常田泰由が木版で刷り出す抽象的なイメージは、作家がこれまでに目に
してきた形のエッセンスである。記憶の中の形は、融合や抽出を繰り返し
て新たな形を生む。新たな形は、順序をもって本の形に仕立てられ、そこ
に未知の関係が生まれていく。そして作品が開かれる度、イメージと“読
者”の記憶が新たな関係を生みだし、そのとき“本”は無限の展がりを見
せるのである。


本も美術も、かつては限られた階級の人間の占有物であった。今、それらは
身近であるばかりか、インターネットを通じて画面越しに接することも可能
である。世界は露わになっていくように見えるが、一方で焦点距離が歪むよ
うな、覚束ない感覚に陥ることはないだろうか。このような時代に、ブック
アートの存在は示唆的だ。それは「身を以て」歪みを認識させ、一つの標と
なる予感に満ち満ちている。
各々の作品は他者との対話を重んじながらも、それを強いることは決してな
く、手にとるタイミングも頁を捲る速度も、全て“読者”に委ねられている。
“読者”はプライヴェートな対話を経験し、それは皮膚に刻み込まれるだろ
う。そのとき世界は、如何なる貌を見せるだろうか。」
                   (松本 佳代/Gallery Jin 研修生)